
東京湾に浮かんでいた小さな島ー佃島 島という環境は
大都市東京の中でも稀有な風景を作り出していた
人と人、人と土地が一つになったこの風景を
現代の都市の中において再び作ることができるのだろうか

佃島から佃へ
佃島は近代によって埋め立てが行われ月島や晴海などができ、
橋が架かることによって東京と陸続きに接続することとなる。
佃島は1967年に佃へと名称が変更となり、
そのことは島という空間性が失われ
均質な近代都市の中に組み込まれることを意味していた。


見えない島のレイヤー
佃には江戸時代から醸成されてきた
多様な共同体が今も息づいている。
こうした見えないレイヤーが
人々の繋がりや街独自の生活景を
作り出している一方で
建物の老朽化や高齢化によって
結びつきは徐々に失われつつある。


共同体を可視化する
地域共同体のための建築をつくることで
街中にその活動を表出させ、
地域のネットワークを再構築していく。
佃にない機能を付加させることで
島全体が生活空間として拡張される。
建築と街の間を設計する
周辺の住宅を巻き込みながら垂直方向に対して建築を展開し、
上層に置いて人々が集まる新しい都市空間を作り出す。
建築設計と都市計画を横断しながら考えることで
建築単体を超えたつながり=島としての空間をつくりだす。

立体路地をつくるタワー
小さな空き地や非常階段を利用してタワーを建てる。
タワーはかつての佃島の風景を彷彿とさせ、
インフラ機能を持たせることで
街の中心となるような場所をつくっていく。
周辺の住宅を巻き込みながら
様々な機能を付加していくことで
立体的な路地空間を形成していく。
空中に浮かぶ都市空間
タワーを繋いだ船のような建築をまちに浮かべる。
建築の下にある住居や路地との
関係性を考慮しながら吹き抜けを設け、
街の新しい視点場となるような空間をつくっていく。
船には様々な人が集まれる場所とし、
路地を横断する新しい都市構造をまちに与える建築となる。



建築は共同体のための施設であり
既存路地を横断していくようなインフラでもある

タワーは既存のバルコニーや屋上と接続させることで
近代住宅をまちに対して開いていく。
まちを微視的に観察することによって
路地の複雑性をタワー内にも取り入れていく。

吹き抜けが従来の路地空間の性質を担保しながらも
船部分において街を見下ろすような新しい視点場をまちに対して与えている。






島は街としての建築の繋がりを生み出し
連続したシークエンスをまちに与える






















撮影協力:中村和耶
